ニューノーマル時代の観光の在り方を考える~マイクロツーリズムとレスポンシブルツーリズム~

去る4月25日、東京、大阪、京都、兵庫の4都府県に三度目となる緊急事態宣言が発令されました。
私が住む神奈川県や千葉県、埼玉県の東京の隣県は、緊急事態宣言こそ出ませんでしたが、まん延防止等重点措置の対象地域を拡大することが発表されました。

ゴールデンウィークを目前に控えたこの時期の「緊急事態宣言」の発令。
不要不急の外出を避け、人との接触を8割減らすことを目標にした徹底した「人流抑制策」が講じられ、今年のゴールデンウィークも去年に引き続き“我慢のゴールデンウィーク”となりました。

実はこの今月のコラム、ゴールデンウィークに向け、「コロナ禍における安心で安全なプチバカンス」として【マイクロツーリズム】について、ずいぶん前に書き上げていました。
しかし…「緊急事態宣言」で、それどころじゃなくなってしまいましたΣ(゚Д゚;)
そのため、急遽内容を変更して、「ニューノーマル時代の観光の在り方」について考えてみることにしました。


コロナ禍で1年以上我慢していること…
それは、「人と集うこと」と「旅行に出かけること」。
今年のゴールデンウィークこそは…と旅行のプランを立てていた方もいらっしゃるでしょう。

しかし、残念ながら今年のゴールデンウィークはステイホームとなりました。
最近の感染者数の急増や変異株の猛威を考えるといたし方ありませんね。

コロナ自粛が明けたら、南国の青い海、世界遺産、異国の文化…海外旅行へも行きたいけど…
実際のところ海外旅行はまだまだ先になりそうですね。

どうしても、人は抑制されると、それが解けた時の解放感からいつも以上に気が緩んでしまうもの。
それが結果として、人気の観光地へ人が集まりすぎる「オーバーツーリズム」を招き、感染者数のリバウンドにもつながっているのかもしれません。

私たちはコロナ禍の生活で、日常のマスク着用やソーシャルディスタンス、テレワーク、ワーケーションなど、多くの新たな日常「ニューノーマル」を生み出しました。
旅行においても、仮にコロナの収束が見えてきたとしてもこれまで通り何の制約もない旅が今すぐ出来るわけではありません。

ならば、コロナが収束するしないに関わらず、一人ひとりがコロナに「感染しない、させない、持ち込まない」という自覚と責任を持ちながら、リスクの少ない場所に旅をする「withコロナの旅行術」を身につける必要があるのかも知れません。

そこで、コロナ禍の新しい日常「ニューノーマル」時代の新しい旅のスタイルして注目されている『マイクロツーリズム』についてお話したいと思います。

地元再発見の旅「マイクロツーリズム」

コロナ禍で、「三密」を避けながら観光を楽しむための手段として注目されているのが「マイクロツーリズム」。

「マイクロツーリズム」とは、「自宅から1〜2時間圏内の地元や近隣への短距離観光」という、星野リゾートの代表である星野佳路さんが提唱する新しい旅のあり方のこと。

現状、新型コロナウイルスが感染拡大防止のため、私たちは都道府県をまたぐ移動は自粛を強いられています。

しかし、「マイクロツーリズム」は地元や近隣への短距離観光であるため、遠方まで出かけなくても、正しい感染防止対策を取った上であれば、「安心」「安全」に旅を楽しむことができます。
そして「マイクロツーリズム」は、これまで近すぎて素通りしてきた近くの場所が実はこんなに新鮮だった!と気づかされる「自分が住んでいる町の再発見の旅」でもあります。

近くにある隠れ家的なカフェや宿。

素敵な雑貨屋さん。

澄んだ空気。

ゆっくりと流れる時。

樹々の香り。

今年は花見も行けずご近所の満開の桜を眺めるだけでしたが、それでもどこか特別な感情が湧いたものです。

「マイクロツーリズム」でのんびりと地元を散策し、風景や文化などにじっくりと触れてみることで、住んでいる町の魅力や良さの再発見につながります。

また、この長引くコロナで旅行に対するマインドが冷えてしまった方が多い事も事実です。特に高齢者の方々は旅行や観光への関心が薄れたり、旅行をしたくても「感染が怖い」と思う方も決して少なくないはずです。

そういった方にとっても、「マイクロツーリズム」なら安心して足を延ばせるし、コロナが収束して、遠距離への旅行が完全に解禁になった時に備えての予行練習にもなるのではないでしょうか。

今求められる「レスポンシブルツーリズム」の考え

マイクロツーリズムと同じくコロナ禍で注目されているワードが「レスポンシブルツーリズム」という言葉。
「レスポンシブルツーリズム」とは、直訳すると「責任ある旅行」のこと。
観光に携わるすべての人が、その土地の環境や文化などに与える影響に責任を持つべきであるという考えのもと、より良い観光地をつくる動きのことだそうです。

この考え方の背景には観光地に起きている様々な問題があります。
たとえば観光地に旅行者が過度に集中(オーバーツーリズム)してしまうことで起こるゴミ問題や、交通渋滞、旅行者と住民のトラブルなど…。
こうした様々な問題は、環境破壊を引き起こし、観光地本来の価値を失うことに繋がってしまいます。
そこで、観光地の本来の姿を持続的に保つための施策として「サステナブルツーリズム(持続可能な観光)」がいま世界的なトレンドとなっていて、それを実現するための旅行者が心構えが「レスポンシブルツーリズム」という訳です。

いろんな「ツーリズム」が出てきてややこしくなってしまいましたが、要は「観光地で出たゴミは持ち帰るなどして、行った土地に極力ゴミを残さない」など、旅行も責任ある行動を意識しましょう!という理解でいいと思います。
その点から言うと、コロナ禍の今は「ウィルスを旅先に絶対に持ち込まない」ことは最も重要なポイントでしょう。

「マイクロツーリズム」は、長距離移動を控えることを前提にした「近隣への短距離観光」なので、ウイルスを他の都道府県へと持ち込む可能性は低いと考えられます。
もちろん、日頃の感染防止対策をバッチリとした上で、感染の疑いがないことが旅行へ行く大前提ですし、旅先で自分の行動に責任を持つことが非常に大切です。

withコロナの旅行では、

  • 旅先でも「手洗い・うがい」を徹底する
  • 人が密集する場所は避ける
  • 人が動く時期の旅行はなるべく避ける
  • ゴミは出さない。出したら極力持ち帰る

この4つは最低限の新しい旅のルールでしょう。
そして、人がいる場所では

  • 食事の時も基本マスクを着用する「マスク会食」の実践
  • 食事中の会話は必要最低限に抑える「黙食」の実践

といった現状の感染防止対策にも留意する必要があるでしょう。

このゴールデンウィークは残念ながら「STAY HOME週間」となりましたが、この機会にご家族で新しい旅の在り方について考えたり、コロナ自粛が明けた後を想像し、マイクロツーリズムで行く地元再発見の旅のプランでも立ててみてはいかがでしょうか♪

お家でゆっくり素敵なゴールデンウィークをお過ごしください♪
Have a nice Golden Week! ...at home.

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