悩める世代の処方箋③「happily ever after のその後」

今月は一般家庭からまるでおとぎ話のようにイギリス王室に嫁いだ二人の王妃の生き方を取り上げます。

その前に…

先日ご逝去されたフィリップ王配に心からの哀悼の意を表します。

エリザベス女王との70年以上に渡るご夫婦の絆は、日本に住む私たちの心にもいつまでも残るものと思います。

心よりご冥福をお祈りいたします。


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ウィリアム王子とキャサリン妃。ハリー王子とメガン妃。

歴史と伝統を引き継ぐ立場であるウィリアム王子夫妻と、自由を求め独立するハリー夫妻。

ハタから見たらそれぞれの人生なんだからそれはそれでいいじゃない、とは思うものの、

王子たちがお互いに納得いかないのは、お二人が同じ家で同じ両親のもと、(ほぼ)同じように育ち、

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特に母ダイアナ妃の死後は肩を寄せ合い支えながら生きてきたからでしょう。

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常に一緒に同じ価値観のもと生きてきた唯一無二の理解者であったからこそ、

しかもイギリス王室という超❗️超‼️特殊な世界で生きてきたからこそ、

ハリー王子の離脱宣言は兄ウィリアム王子にとって本当に心が痛く、心細い思いをしたと慮ります。

それがたまたまメガンという一人のアメリカ人女性の出現に端を発しているということから、

彼女が悪者にされてしまっているのかもしれません。

そしてまたハリー王子も大人になるにつれ、

未来の国王となる兄と王位継承権下位の自分の立ち位置を思い知らされ、

何かしら思うことがあったことは容易に想像できます。

王室(皇室)は何百年、国によっては千年以上にも続く、その国にとって最高にして最大のファミリービジネスといえるでしょう。

超名門、イギリス王室🇬🇧ともなればその注目度の高さは世界一。世界最大のファミリービジネスです。

公務で国内外あちこち訪問し、笑顔を見せる。国民にお心を寄せたり励ましたりする。

国民への奉仕と象徴として「在り続ける」ことこそが彼らの「お仕事」。

ここで豆知識!余談ですが世界で一番古い国は日本。(中国四千年の歴史にごまかされないように!笑)

皇室の歴史は実に2600年以上に遡ります(紀元前660年〜)。現在の令和天皇は第126代目。

これは世界中の王室を見てもダントツに長いのです。

ちなみのちなみに、世界には約28カ国に王室がありますが、日本の次に古いのはイギリス王室(1066年〜)、

その次がかのグレース・ケリーが嫁いだモナコ公国(1297年〜)!

さてさて。

英国王室の後継ぎとして歴史と伝統を守る覚悟を決めている兄夫妻と、

[Finding Freedom〜自由を求めて]という本が出版されるほど自由を求める弟夫妻。

<歴史と伝統>と<自由>

相反する二つのものを共に仲良く追いかけましょう、というのは土台無理な話です。

長男の嫁としてイギリス王室を夫と共に支えていくキャサリン妃。

時として自らを滅し、国のため、王室のためを最優先させながら献身的に生きています。

その献身的な姿勢が英国民からも高く評価されています。

一方次男の嫁として自由を求め、夫を鳥かごから救い出したメガン妃。

夫に自由を教えて共に戦いながら、夫のため、自分のため、子どものためを最優先して経済的自立をし、

自分たちの足で歩こうとしています。セルフブランディング能力が高く、ビジネスにも長けている印象です。

日本の“嫁入り制度”に馴れている私たちからすると、

夫を立て、良妻賢母として家族・家庭を支えているキャサリン妃の生き方に共感を覚える方が多いでしょう。

母ダイアナ妃を失い男ばかりになってしまった夫の親子関係の、見事な潤滑油になっているように見受けられます。

キャサリン妃も結婚前から結婚後数年に渡り、心ないタブロイド誌の標的にされていましたが、

「黙して語らず」を貫き、真摯に公務に取り組むことで今やしっかりと国民からの信頼を得たようですね。

ディズニープリンセスたちは王子様と結婚して王室の中に入っていきますが、

ディズニーは次男(王位継承権下位)との結婚は描いていなかった。

だから自分たちの生き方は、自分たちで切り開かなければならない。

メガン妃は確かに整合性の取れない発言や行動は多々ありますが、違う視点から見ると、

愛する家族を「王室」というビジネスで塗り固められた不自由な鳥かごから救い出すために立ち上がったヒロインかもしれません。

 

個人的にはハリ&メガ vs 王室の一番の問題点は人種差別よりも、『言葉が通じること』だと思っています。

本来これはイギリス人とアメリカ人の国際結婚なわけです。

メガン妃はイギリス国歌を誰も教えてくれなかったからYouTubeで練習したと言っていたけれど、

それもそのはず、キャサリン妃はイギリス人ですから国歌を教える必要がなかったのですよね。

それ以外にも、今までの結婚相手は貴族出身なので王室の特異性はよく理解していたでしょうし、

中産階級出身のキャサリン妃も結婚前に長くお付き合いをしていたからある程度覚悟はしていたはずです。

イギリスとアメリカ。

伝統も風習も全然違う。けど、歴史的にはイギリスがお兄さんで、アメリカが弟、的な図式もあります。

両国は似ているし、言葉が通じ合うことから当人同士もその家族も

互いの常識や価値観のズレに気づくことが少なかったり、互いに理解をしていて当たり前、

という感覚に陥ってしまうのでしょう。

少なくとも日本人とイギリス人が結婚するよりもハードルが低いと見えがちです。

しかし。

世界一格式の高い伝統のど真ん中にいるハリー王子と、

黒人と白人のミックスで女性の権利を主張しながらsurviveしてきたメガン妃。

似た国とはいえ両極端な価値観で生きてきた二人です。

二人きりでいるには刺激的で良いでしょうが、家族を巻き込むとなると…

そりゃあ一筋縄ではいかないことがたくさんあります。

アメリカに王室がないことも大きいでしょう。

メガン妃はコーテシー(目上の方へのお辞儀)を知らなかったと言っています。

エリザベス女王にお会いする直前、

「あなたのお祖母ちゃんに会うのよね」

「違うよ、女王陛下に会うんだよ」という会話があったと聞いて、びっくりしました。

日本人がもし万が一でも他国の王室、皇室の方々に拝謁する機会があったとして…、

失礼のないようにと礼儀作法めっちゃ学びますよね😅

結婚前にウィリアム王子が「時間をかけて、この子のことをきちんと知る必要がある」とアドバイスし、

ハリー王子はそれが気に入らなかったことから兄弟間に溝ができたと言われていますが、

二人の愛が燃え上がって結婚を急いだことは、彼女のことをきちんと知る必要以上に、

アメリカ人のメガン妃があの特殊な英国王室を十分に知り、経験し、理解し、

学ぶ時間を奪ってしまったのではないでしょうか。

こここそが、この問題の一番の原因だと思います。

兄ウィリアムは正しかった⁉️

こうした問題は何もロイヤルファミリーに限った話ではありません。

わたしたちのごく身近にも似たような問題がたくさんあります。

長男家と次男家の確執、遺産相続のトラブル、嫁同士のいざこざやマウンティング、

年齢を重ねると親の介護の問題の押し付け合い…。

そこに「屋号(ファミリービジネス)」という体面と経済的なことが関わってくると問題はさらに複雑になってくる。

これもまた、「言葉が通じる、文化が同じ、互いが一つ」だから生じるいざこざです。

家族のトラブルをあけすけに語り、ビジネスに結びつけたハリ&メガが賢いかどうかはさて置いて、

どこにでもあるトラブルだからこそ、英王室の話題が世界中で注目されるのでしょう。

全然違うキャサリン妃とメガン妃。

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でも共通点が一つだけあります。

それは夫を愛し、夫と築いた自分の家族を守ろうとしているということ。

キャサリン妃は夫と夫の家族(先祖含む)と子供達が一生背負っていくファミリービジネスを守ろうとしています。
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メガン妃は(少し攻撃的ではありますが)夫と生まれてきた子供の心を世界中の好奇の目から守ろうとしています。
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互いの行動はまったく違いますが、それぞれが、それぞれの立場で最善を尽くし、

二人とも本質的には家族を守るために行動しているのです。

そしてそれはあなたも同じ。

家族を守るために置かれた立場で最善を尽くしている。

世界を賑わすロイヤルファミリーの王妃たちも

名も無い市井しせいに生きるわたしたちも

訪れたことのない国の世界中の母たちも

結婚していても、シングルマザーでも

家族を守るために女は全力を尽くすのです。

みなさんも日々感じていることでしょうが、

ディズニープリンセスのように王子様と結婚してお姫様になったらすべてが思い通りになるわけじゃない。

二人の王妃が現代版プリンセスとしてリアルに経験し、見せてくれています。

大切なのはお嫁に行ったその後の日常という名の毎日。

自ら戦い、時には我慢し、隙を見て前に出る。

影に隠れがちな「妻・母」の役割ではあるけれど、その日々の献身は必ず誰かが見てくれています。

あなたがいてくれるから、ご主人やお子さんたちはがんばれる。

あなたがいてくれるから、家族は活躍できる。

あなたがいてくれるから、家族にとって世界は輝いている。

そして家族がいてくれるから、あなたは輝いている。

イギリスの王妃たちはその生き方を通して、そんなことを見せてくれている気がします。

And they lived happily ever after.....

ふたりはずっと幸せに暮らしたとさ…めでたし、めでたし。

とおとぎ話のように簡単にはいかないけれど、

様々な経験を積み、今日も家族のためを思って元気に『行ってらっしゃい!』と言うあなたは

どのディズニープリンセスたちよりも強くたくましく、そして美しいのです。

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