令和2年もいよいよ終わりに近づいて来ました。
今年は、「新型コロナウイルス」という未知のウィルスが全世界に猛威を振るい、東京オリンピックも延期になるなど、激動の1年でした。
このコロナウイルスは、ソーシャルディスタンスやテレワークなど、私たちの生活環境や仕事の仕方などを大きく変えた1年でもありました。
未だ終息の道筋が見えない状態ではありますが、この災禍を乗り越え、来年はいい年にしたいものです。
さて、子年から丑年に変わる大きな節目、令和3年はどんな1年がやって来るんでしょうね。
…とその前に、皆さん「大晦日」「元旦」「元日」「正月」ってどういう意味かご存知でしょうか?
一つひとつおさらいをしていきましょう。
「大晦日」
大晦日の「みそか」は本来「三十日」と書き、「月の30番目の日」という意味です。それが転じて実際の日付けに関係なく、「31日」などその「月の最終日」を意味するようになりました。
大晦日の「大」は、「1年の最後の月の最終日」であることからつけられたもので、大きいという意味ではありません。
また、大晦日の「晦」という字は月の満ち欠けが変化する様子を表わす言葉の1つで、月が隠れることを意味しています。「月隠り」が転じて、この一文字で「晦」と読むようになりました。新月を1日とし、月が隠れる「晦」の頃がおおよそ30日であったことから、30日を晦日と呼ぶようになったのですね。
「元旦」「元日」
「元日」はその年最初の日、つまり、1月1日のことを指します。1月1日の0時0分から23時59分の24時間ですね。
それに対し「元旦」は元日の朝、午前中を指すと言われており、「元旦」の「旦」の字は、地平線や水平線から太陽が登ってくる様子、つまり日の出を表していると言われることからも、朝を意味すると考えるのが一般的です。
「正月」
1年12ヵ月のそれぞれの月を、単純に 「1月」「2月」…「12月」 と数字で表す呼び方の他に、1月は「睦月」、2月は「如月」…12月は「師走」と呼ぶ「和風月名」と言われるものがあります。
そしてその和風月名とは別に、1月だけは特別に 「正月」と呼ぶことはもちろん皆さん言うまでもありませんね。
では何故「正月」と呼ぶのかご存じですか?
「正」は、「一」と「止」でできています。「一」は〈自分〉や〈原点〉、「止」は〈立ち止まる〉や〈振り返る〉という意味があります。即ち、『改める・改まる』ということなんですね。
仏教の教えに『一日一止』という言葉があります。
「一日一度、立ち止まりなさい。そうすれば正しい生き方が見えてくる。」という教えなのですが、そういう意味でも「正月」は、「過ぎ去った年をいま一度省みて、気持ちを新たに迎える一年の始まりの月」という事が言えると思います。
日本の「正月」は、新年の神様である「歳神様」を各家庭でお迎えして、1年の幸せをたくさん授かるべく、初日の出参り、初詣、書き初め、初夢、おせち料理、おとそ、雑煮、年賀状、お年玉など様々な行事が開かれますね。
余談ですが、「おせち料理」と言えば、CLOVER famのメンバーの皆さんがお得意とするところですね!私も「おせち特集」の撮影にご一緒させていただき、一足早くご相伴に預かりましたが、それはそれは見事な出来栄えです!きっと「歳神様」も喜んで舞い降りて来て下さることでしょうね。
日本の古くからの習慣や風習・風俗は、「陰陽五行の概念」に基づくことが多いようです。
「おせち料理」の一品一品の意味、お年玉の起源、鏡餅の由縁…ご興味があれば調べてみても面白いですよ。
「子年」
さて令和2年は、十二支で言えば「子年」でした。
「子」の字は、「了」という字と数字の「一」から構成されていることからもわかる通り、『一旦終「了」してまた「一」から始める』との意味があります。
自分の心を整理し、要らないものは排除し、新しいことにチャレンジする1年でした。今思えば、コロナによってこれまでの当たり前が当たり前でなくなり、いろいろなものがリセットされました。正にスタートの年だったのかもしれません。
「丑年」
来るべき令和3年は十二支で言えば「丑年」。
「丑」という字は、手の指を曲げて物を握る様子を現した象形文字で、「掴む」・「絡む」という意味を持っています。糸へんをつけると「紐」という字になり、「曲がる」・「捻る」という意味も窺われます。
即ち、子年に蒔いた種が土の中で膨らみを帯び、種の中で発芽の時期を待っている状態を表しているわけです。この世に顔を出す芽生えを直前にし、満々とエネルギーを蓄えている時期のイメージですね。
「六十干支」
ここで干支にまつわる話をもう少し深掘りしてみましょう。
皆さん、干支と言えば「子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥」と、十二支を思い浮かべるのではないでしょうか?
しかし、正確に言うと干支というのは、十二支に「甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸」からなる十干を組み合わせたものになります。
十二支は12年周期で一巡するのに対し、十干は10年周期で一巡します。そしてこの「10」と「12」の最小公倍数である「60」通りの干支があり、これを六十干支と呼びます。
つまりすべての干支が一巡すると「還暦」になるんですね。
「辛丑」
六十干支をすべて言える人はなかなかいないと思いますが、例えば甲子園球場の名前の由来にもなっている「甲子」は聞いたことがあるのではないでしょうか。ご想像の通り、甲子園球場は甲子の年に建てられました。ちなみに今年の干支は「庚子」でした。
そして来年、2021年は「辛丑」になります。
「辛」は、十干の8番目にあたり、陰陽五行で「金」の「陰」に当たります。「辛い」という文字にどうしても目が行ってしまいますが、この文字には「新」との意味もあり、草木が枯れて新たな生命が芽生えようとするイメージです。
今年はコロナに始まり、コロナに終わる1年でした。その間に私たちの生活は激変し、あらゆることが制限された中での生活を余儀なくされた、まさに「“辛”抱」の1年でした。
その新型コロナウイルスは、この冬「第3波」が押し寄せ、再拡大の様相を呈したまま新しい年を迎えようとしています。
そのため、2021年のスタートは、もう少しの辛抱が必要でしょう。
「辛丑」の年は、「辛さもあるが、これが一段落すれば新しい芽が芽生えてくる年」という意味として捉えることができます。
先月、冬至をテーマにしたコラム「陰極まれば陽と為す」でも書きましたが、陰陽五行では、陰と陽は互いに引き合い、片方が強くなればもう片方も強くなると考えられています。
そう考えると今年はコロナウィルスの影響で陰が大きかった分、これから先は明るい未来が待っている!と期待しようではありませんか。
最後に…
「辛」という字に「一」を足すと「幸」になります。
まだまだ予断を許さない新型コロナウイルスですが、この“辛”い時期を、皆で“一”致団して乗り越えましょう。
その先の「幸せ」に向かって…。
来る令和3年が皆さんにとって幸多き1年になりますように。