• リレーインタビュー①|野中くみさん
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-ではまず家業について教えてください。

今の飲食業は父の代から。私が小学生の頃に始めたのですが、それまでは精肉業をしていました。
家業としての始まりはおよそ500年前。金貨の鋳造業として武田家と徳川幕府の創成期を支えたそうです。その後業態を変えながら今の飲食業に至ります。
父が18代目なので、私が継げば19代目ということになりますね。

-いつから家業を継ぐことを意識したのですか?

我が家は3姉妹(私は3姉妹の真ん中)で男兄弟がいなかったので、自ずと姉妹のうちの誰かが店を継ぐことになったのだと思いますが、姉と妹は早々に結婚して家庭を作ったので私かなと…。
でも、お店を継ぐことを意識したのは実は子供の頃から。
父もなんとなく決めていたようで、ことあるごとに私だけ家の歴史を聞かされてました(笑)
大学生の頃には私だけ料理教室にも通わされていたし…考えがあったんでしょうね。
それでも、一度も父から直接「跡を継いでくれ」とは言われたことはないんです。
ハッキリとは言わないんだけど、父の思いは子供ながらにも感じていたので、自然と気持ちをくみ取っていたんだと思います。
それと姉と妹はB型で自由奔放な性格なので、A型の私しかいないなと…(笑)

-(家業を継ぐことに)抵抗はしなかった?なんで自分なの?って思わなかったですか?

それはもちろんありましたよぉ!ものすごく抵抗もしました!!
どうにか違う方向に行けないかとずっと考えてたし…それはぶっちゃけ今でも(笑)

私は子供はいないけれど、甥っ子や姪っ子たちがいるので、父の中には後を引き継いでほしいという想いもあるのかもしれないけど、彼らにもそれぞれの人生があるわけだし、無理に押し付けたくはないなと思っています。何より自分の好きなことにチャレンジしてほしいしね。
これは私の宿命なんだと思っています。
まぁ甥っ子姪っ子たちが、いろんな事を経験していずれ戻ってきてくれたらそれはもちろんうれしいですけど。
ただ誰が継ぐにしても、技術の伝承等々家族経営でやってきた分なかなか難しい部分もあるので、そこら辺をスムーズにしていくことが私の代でやるべき仕事かなと思っています。もちろん継がないという選択も遠慮なくできるようにしておきたいと思っています。

屋号に対する想いはありますが、業態が変わってもいいんです。元々業態変わってますし。その時その時代に合わせて、社会に貢献できるようなことを生業とさせていただければそれで十分だと思っています。

-他になりたい職業とかはありましたか?

小さい時から学校の先生になりたかったかな。英語の先生に。
大学の時には教職課程も取っていたし、母校に教育実習にも行ったりしたんだけどね。でも、大学を卒業したら留学でもしようかなとも思っていて、就職活動もしないでいたのね。それくらい先の事は漠然としか考えていなかったの。そうしたら、必死に就職活動している周りの仲間たちから「ちゃんとしろ!」って怒られて…(笑)。それでなんとなく地元の企業を受けてみたら内定もらっちゃって…。
ちょうど教育実習と就職活動の時期が重なっていたんだけど、内定を断るのも失礼かなと思い、その会社に就職を決めたって感じです。

-どんな会社に就職したのですか?

就職したのは東京に本社のある半導体のグループ企業だったんだけど、グループ企業の中に私の地元が本社の会社があって、そこに入社しました。
もともとお店のお客さんでもあったので、会社ではお店の予約とかも担当してましたね(笑)予約をいただいた日は当然家に帰っても会社の方たちがいるので合流して、接客をし、「2次会行くぞ!」となればついて行き…いったい私はなんの仕事をしてるんだろう?っていう毎日でした(笑)それはそれで楽しかったんだけどね。
でもやっぱり私はOLには向いていないことに気が付いたのね。事務苦手だし…。なんせ入社してすぐにコピー機を壊し、次はパソコンを壊し、挙句の果てには会社の駐車場内の標識まで壊しました(笑)
そんなこんなで会社はたったの1年半で辞め、自然とお店を手伝うようになり、いつの間にか社員になり、役員になってました(笑)
それからふとパリに行きたくなり、パリに行ってしまったんだけど、ちょうど狂牛病で飲食店が大きな打撃を受けていた時期で、家もけっこうたいへんで、父から「戻って来てほしい」と。
それからずっと今の生活…毎日同じルーティンをこなしています。かれこれ20年になりますね。

-ではくみさんの1日を教えてください

8時~9時の間に起床して、
10時くらいから出かけていろいろと用事を済ませて、
13時か14時くらいに仕事を始めます
そこからはひたすら仕込みなどの開店準備に追われ、
開店してからは接客や調理など一通りこなしてます。
閉店後は片付けやお掃除、バイトの子たちの食事の準備などをして、23時〜24時くらいにようやく仕事が終わる感じですね。
最近はコロナの影響がありもう少し早く終われる日も。それからはようやく自分の時間。
お風呂に入り1日の疲れを取ったら、「愛の不時着」以来ハマっている韓流ドラマを観ます!
これが私の至福の時間です♪

-本業の他にもJC(日本青年会議所)でも活動されてましたね。

友人の勧めで入会し、40歳の卒業まで4年半ほど活動してました。比較的短い活動期間です。
JCの仲間たちと一緒に何かを作り上げたりすることがとても楽しかったですね。学園祭のような感じかな。
皆で作り上げた事業が、地域の人たちに喜んでもらえたりするとすごく嬉しかったですね。
JCの活動をしていると人間関係の輪が広がっていくんだけど、最初は地元だけだったものがやがて県内全域に広がり、それが日本全国に、そして世界にまで広がっていく…こんな経験はJCにいなければできなかったので、とても貴重な4年半でした。

卒業後もJCとの関わりは続いていて、特に私の中で思い出深いのは地元で開いた「ベーコンフェスティバル」。このベーコンフェスティバルはもともとアメリカのアイオワ州のお祭りなんですが、私の地元がアイオワと姉妹都市を結んでいるのがきっかけで、県内でもベーコンフェスティバルをやろうということになり、地元のJCが主体となって立ち上げたんですね。
わたしは卒業はしていたけれど、アイオワに深い縁があり、また地元やJCに恩返しができればと思い微力ながらお手伝いをさせていただきました。

そうそう。アイオワのベーコン祭りのイベントのひとつに「ベーコンクィーンコンテスト」というものがあるのですが、ワタクシ、なんと、アメリカ初の「ジャパンベーコンクィーン」に選んでいただきました(笑)!!

 

-ベーコンクィーンとしてはどんな活動をされたんですか?

アイオワでのお祭りの時に会場を練り歩いて参加者と話したり写真を撮ったりといった交流をしたり、アイオワのローカル番組に生出演したり(打合せなしのぶっつけ本番!)、歴代のクィーンたちと親睦を深めたり。アメリカではわたしのような”おばちゃんクィーン”もあたたかく迎え入れてくれて、みんな気さくに声をかけてくれたのがとてもうれしかったです。(自分では「アジア人だし、背も小さいし、きっと実年齢より若く見えてるはず!」と必死で思い込みました)

この歳になってこの手のコンテストに出るのはとても勇気のいることでした。一緒にコンテストに出ている子は半分くらいの年齢だし(笑)。いろいろ裏事情もあり出場したのですが、年齢も国籍も関係なく、この人が相応しいと思えばそれを支持する!というアメリカ文化を肌で体験することができ、素晴らしい経験となりました。自分が楽しんだもん勝ち!!なんですよね。

日本に帰ってきてからは地元の市長を表敬訪問し、日本でもクィーンを誕生させるべく、「ジャパンベーコンクィーンコンテスト」を主催しました。

-くみさんが仕事をする上で大事にしていることはありますか?

これは仕事をする上で…という訳ではなくすべてにおいてなんですが…「笑顔」です。
人にはその人のイメージというか、「印象」があると思うんですが…例えばある人の事を思い浮かべた時に難しい表情のイメージの人もいれば、あまり表情がない人もいます。
私は誰かに思い出された時の表情が「笑顔」でありたいなぁと思ってるんですね。これは子供のころからずっと思っていました。

地元の先輩を通して重太みゆきさんという印象行動学者の方と知り合ったんですね。フジテレビの『ホンマでっか!?TV』などメディアにもよく出ている方なのでご存じの方も多いんじゃないかと思いますが、いわゆる笑顔で印象度を上げるスペシャリストの方です。重太さんの講演を聞いたらとても感銘を受けて、私の地元で講演会もやってもらったりしました。
重太さんは「スマイルプロジェクト」という、笑顔のトレーニング方法を学んで世界中に笑顔を広めていこう!という活動をされていて、独自の資格制度の「スマイルトレーナー®」の育成に取り組まれていています。私も「スマイルトレーナー®」の資格を取得しました。
飲食の仕事をする上でやはり笑顔は大事ですし、笑顔は人を幸せにしてくれますしね。
自分も笑顔でいたいし、人も笑顔にしたい。「笑顔」が今後も自分の中での大きなテーマです。

-確かにくみちゃんを思い浮かべるといつも笑っている顔が浮かびます(笑)

昔、お店の常連さんでアメリカ人のお客さんがいたんだけど、そのお客さんからある日「Kumiはなんでいつも笑ってるの?Kumiの笑顔を見てると自分も笑っちゃうよ」と言われてすごく嬉しかったのね。自分の笑顔で人も笑顔にすることが出来るんだと…確認できた出来事でした。
だからこれからも周りのみんなを笑顔にできるようにまずは自分から笑っていたいと思います。

-では最後にCLOVER famのみんなからいろいろと質問が寄せられているのでお答えください
Q1.趣味は何ですか?

今はゴルフです。めっちゃ下手だけど(笑)
先日のブログにも書きましたが、最近は月に3回くらいは行ってるかな。練習しないから一向に上達はしないんだけど…。
JC時代の仲間たちと回ることが多いんですけど、男性陣がほとんどなので、私は「くみルール」というハンデをもらってやってます。

-くみルールとは?

空振りはカウントしない。バンカーはいくら打っても1打…などなど(笑)

-とっても優しい男性陣ですね(笑)ゴルフの他は何かありますか?

あとは買物、食べ歩き、旅行かな…いまはどれもなかなかできないけど。
最近はCLOVER famメンバーに教えてもらった韓流ドラマをよく観てます(笑)

-食べ歩きはどんなジャンルが好き?お気に入りのレストランは?

フレンチ、イタリアン。
行けるのが日曜日しかないので、やってるお店があまりなくて、どうしてもホテルのレストランとかになっちゃうんだけど、フレンチだったら帝国ホテルの「レ セゾン」とかマンダリンオリエンタルのフレンチも美味しかったかなぁ。イタリアンだと片岡シェフの「アルポルト」も好きですね。
コロナが収束したらまた県外に食べ歩きしたいです。

Q2.くみちゃんは文章力が素晴らしいですが感銘を受けた本はありますか?

最近はあまり本は読んでないんだけど、高校時代には遠藤周作さんの本をいっぱい読みました。特に好きなのは「死海のほとり」と「女の一生」。この方はクリスチャンなのでその思想に影響を受けたところはありますね。
私はクリスチャンではないんだけど、中高大と学校がずっとミッション系だったので聖書に触れることが多く、影響もいっぱい受けました。聖書には名言がいっぱい詰まっているので、若い時期にそういうものに触れたことはいろいろと役立っていると思います。

-聖書の中で一番刺さった言葉は何ですか?

「The light shines in the darkness, and the darkness hasn’t overcome it.(光は闇の中に輝いている。闇はこれに打ち勝たなかった。)」という言葉。
闇の中に光を入れたら闇は消えるけど、光の中に闇を入れても光は消えない…という意味の言葉。

-文章を書くときに意識していることは?

リズム感かな。学生時代英語の勉強をしていたときにビートルズや洋楽を聴きまくりました。英語の詞ってわりと韻を大事にしているのね。それが耳に入りやすいリズム感を生んでるのかもしれないけど、文章もテンポとかリズム感みたいなものがあればすんなり入りやすいかなと思っているのでその点は気にしています。学生時代は相乗効果で英語の成績もアップしたので洋楽を聴くことはオススメです!

Q3.座右の銘は?

「笑顔に勝る化粧なし」

という言葉。
元々誰の言葉かはわからないんだけど、昔茶道を習っていた時、先生が当時100歳のおばあちゃん先生だったんだけど、その先生から聞きました。
「笑顔」がテーマの私にとっては、「正に!」という言葉で、しかもわたしは化粧がとても苦手!!化粧の下手さは笑顔でカバーしようと思っているわたしにはピッタリの言葉!!以来私が大事にしている言葉です。

Q4.メンターはいますか?

自分以外はみんなメンター!

Q5.どんな自分になりたいと思っていますか?今の自分はそれを叶えられていますか?

いつも笑っている自分。
なんか難しいことや将来のことはわからないけど、自分が笑っているということはすべてが上手くいっている状態だと思うので、そんな自分であれればいいかな。

Q6.理想のパートナー像は?

向上心のある人。尊敬できる人。

-芸能人では?

今はヒョンビン好き💛(不時着効果!)
日本人だったら竹野内豊。大沢たかお。昔からずっと好きなのはミスチルの桜井さん💛

-みんなイケメンですね(笑)

はい(^^)/
桜井さんは才能が好きです!かなり影響を受けました。

Q7.お互いを食べ物に例えると何ですか?

これは僕の方で答える質問ですね。

えー、「ベーコン」しか思いつきません(笑)

Q8.クローバーファムの活動をして半年以上が経ちますが、活動を通して感じている事はありますか?またメンバーの魅力は?

最近特に感じることは、みんな文章がすごく上達したなぁって思う。特にこの1か月くらいの上達ぶりはびっくりするくらい。
なんかみんなモチベーションが上がったのかな?
あと、みんなの魅力は…とにかくみんな素直でいい子たちばっかり!そしてみんなすっごくカワイイ💛
みんなそれぞれに得意分野があって、それぞれの魅力があって、輝いてる✨
だからみんなの事をもっともっと知ってもらいたいなぁと思ってます!

 

Q9.最後にクローバーファムで今後やっていきたいこととかはありますか?

例えばブログだったら、自分はみんなみたいにキラキラした日常は書けないので、もっとジェネラルに自分の書く文章で誰かしらの日々の生活に気づきを与えることが出来たり、誰かを励ますことが出来たり、人の気持ちの機微に触れられたりしたらいいなと思っています。
あとはみんな可愛くて魅力的なメンバーなので、私なりの立ち位置で支えていきたいと思っています。

 

今日はいろんな事が聞けて楽しかったです。ありがとうございました。
インタビューを終えて

くみちゃんを一言で言い表すとしたら、それは「気配りの人」。
いつもみんなの話をじっくり聞いて、皆のいいところを引き出してくれる。
あったかい笑顔で皆を照らすお日様のような存在。
全体を見渡す力にとても長けてる人だなぁと以前から思っていたけど、今回のインタビューを通してその理由がわかった気がしました。

いつも笑顔が素敵なくみちゃん。これからもその笑顔で皆を癒してくださいね!

聞き手:陶山 ヒロシ
CLOVER fam サイト管理者 兼 ディレクター

野中 くみ Kumi Nonaka

(一社) ISD個性心理学協会 インストラクター
スマイルトレーナー®

地方在住。
家業の老舗肉料理店の跡取りとして経営に携わるかたわら、地域社会への貢献や、国際舞台で活躍できる人材の育成など、幅広い分野で活動している。
クローバーファムメンバー唯一の独身。

精一杯仕事をしながら、狭い地方都市でもがきながら生きる等身大の女性の1人として、さまざまな分野について日々感じること、考えたことをメッセージさせていただきます。

野中くみさんのブログはこちら