陰極まれば陽と為す

今回は、一般社団法人 ISD個性心理学協会の元会長でいらっしゃる一面俊明先生にスペシャルコラムを執筆していただきました。
個性心理学はもとより、そのベースとなる算命学や四柱推命、陰陽五行にも精通された一面先生の考える今年の「冬至」とは…

みなさんこんにちは。
今年も残すところあとわずかとなりましたが、皆さんはいかがお過ごしでしょうか?
今年は「新型コロナウィルス」が世界中で猛威を振るい、私たちの生活にも大きな影を落とした、まさに激動の1年でした。
まだまだこの先どうなるかわからない状況が続きそうですが、暦の上では大きな区切りとなる「冬至」を迎えます。
そこで今回は、知っているようで以外と知らない「冬至」についてお話したいと思います。

『冬至』…二十四節気(にじゅうしせっき)のひとつで、第22番目。
二十四節気の中で、「夏至・冬至・春分・秋分」の4つを『二至二分』と呼びます。
夏至と冬至で「二至」、春分と秋分で「二分」です。
夏至と冬至はその「至」という字が示す通り「行きついた」という意味を持ち、昼がいちばん短い日が「冬至」で、長い日が「夏至」ですね。
春分と秋分は「分」の字の通り、境目であることを示し、どちらも太陽が真東から上り真西に沈み、昼夜の長さが同じ日でもあります。
この間に「立春・立夏・立秋・立冬」の「四立(しりゅう)」があり、八つの季節を「八節(はっせつ)」と呼びます。

ここで天文学ミニ知識!
北半球で、太陽が真南に来て一番高く上がった時の地平線との角度のことを「南中高度」と言います。
その南中高度が一番大きくなるのが「夏至」。
一番小さくなるのが「冬至」。
その中間でどちらも同じ高さになるのが「春分」と「秋分」ということになります。
その南中高度が一番小さくなる「冬至」...夜が一番長くなる日であり、昼が一番短くなる日です。
夏至の日と昼間の長さを比べると、札幌で約3時間、東京では約5時間もの差があるんです。

太陽が生まれ変わる日

冬至は太陽の力が一番弱まった日であり、この日を境に再び力が甦ってくることから、昔の人は、太陽が生まれ変わる日と捉えていました。
つまり、衰えていた太陽の力が再び勢いを増し、気持ちも新たな新しい年がやって来るのです。
太陰暦では暦のスタート日として、厳粛な儀式が行われていただけでなく、「生命の終わる時期」と考え、そしてそれを乗り越えるため無病息災の祈願などをし、人々の不安を取り除こうとしました。

日本における冬至

冬至と言えば「柚子湯」を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
柚子湯もこうした無病息災の願いを込めた風習ですが、日本の冬至を象徴する風物詩ですね。
ではなぜお風呂に「柚子」を入れるようになったんでしょう?
これは柚子湯の風習が始まった江戸時代の“駄洒落”文化からきているようです。

冬至の読み方にかけて、「湯治〔とうじ〕」。
そこに「融通〔ゆうずう〕が利きますように」という願いを込めて、「柚」をいれた「柚子湯」に入り、冷えた心身を温める習慣が始まりました。
いかにも洒落が効いていて、粋を愛した当時の江戸町文化が伺えます。
また、柚子の強い香りには邪気を祓う霊力があるとも信じられていたようで、新しい年を迎える前の厄払いといった意味合いが強かったようです。

また、冬至には「ん」の付くものを食べると「運」が呼びこめると言われています。
なかでも、れんこん、にんじん、ぎんなん、きんかん、かんてん...など、「ん」が二つ付くものを運が倍になる、運盛り (うんもり)といって縁起をかついでいたのです。

でも、冬至といえば「かぼちゃ」が有名ですよね…「ん」が付いてない?いえいえ、かぼちゃは「なんきん」とも言いますね!
この他にうどんを「うんどん」と呼ばせて、「なんきん、れんこん、にんじん、ぎんなん、きんかん、かんてん、うんどん」で冬の七草と呼ばれています。
運盛りは縁起かつぎだけでなく、栄養をつけて寒い冬を乗りきるための昔の人の知恵だったんですね。

『一陽来復』...陰極まれば陽と為す

先にも述べましたが、冬至は太陽の力が一番弱まった日であり、この日を境に再び力が甦ってくる日です。
これを陰陽説では、冬至は最も「陰」が極まった地点で、そこから反転して再び「陽」の力が兆してくる「一陽来復」と言います。
この世界の森羅万象はすべて、陰と陽、裏と表・死と生など、相反するものが循環しバランスを取りながら成り立っているという考えです。
生き物にはオスとメスがいてその生命を繋いでいます。そして生まれてくる命があるのと同時に死があることでバランスを保っています。
このように陰があるからこそ陽があり、陽があるからこそ陰があります。
そして陰と陽は互いに引き合い、片方が強くなればもう片方も強くなるとも考えられています。

今年は新型コロナウィルスが、世界中に大きな影を落としました。
そう考えると、陰が大きかった分、明るい未来が待っているかもしれません。

明けない夜はありません。
止まない雨はありません。
春の来ない冬はないんです。

2020年(令和2年)12月21日。
今年の冬至は大きな分岐点。新しい時代の幕開けです。
この日を楽しみに待とうではありませんか。

世界に明るい光が降り注ぐことを願いつつ…。

PROFILE
一面俊明 Toshiaki Ichimen
元 一般社団法人 ISD個性心理学協会  会長

1959年5月8日東京に生まれる。
1982年3月 早稲田大学政治経済学部を卒業。
1995年に『ISD個性心理学』の前身である「個性学」に出会い、立ち上げチームの一員としてこの学問の普及に尽力。
2003年2月 『ISD個性心理學協会』を設立以降は同協会会長に就任。
現在はISD個性心理学協会の会長を勇退し、企業のコンサルティング活動や講演活動で全国を飛び回っている。

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